善福寺川
●神田川との合流点をスタート
地下鉄丸の内線・中野富士見町駅の改札口を抜けて、左へ行けばすぐに神田川の富士見橋です。しばらくは神田川沿いを歩きます。左岸の道を進むと、左側に営団地下鉄の車庫が見えてきます。駅から3分、善福寺川が右手から神田川に合流する地点に到着します。ここが、善福寺川遡行の出発点です。ただ、この善福寺川出合い付近は、川沿いの転落防止フェンスが、コンクリート壁を使っていてなおかつ背が高いという代物です。壁の向こうの川がどのような状態になっているか、背伸びをしないとわからない高さです。でも、心配することはありません。神田川沿いの道を来ると、自然に善福寺川沿いの道となります。
神田川の和田見橋の次の橋が、善福寺川最下流の橋となる和田廣橋。橋の手前には、善福寺川源流・遅野井の滝から11.3km地点という小さな標識があります。ちなみに善福寺川の全長は制式発表では10.5km。800mの差は、川の流出口から遅野井の滝までの距離ということです。人によって感じ方は違うでしょうが、出発点を意識できる小さな標識の存在は大きいと思います。ここから、善福寺池までの間、川沿いの歩道が途切れる箇所は僅か一箇所です。その部分にも、迂回路の案内図があります。善福寺川では道を迷うことはまずないでしょう。
●明るい住宅街を歩く
歩き出してから環七までの間までは、川はコンクリート3面貼りにU字溝、時々減勢溝という無機質なスタイルです。和田廣橋からふたつ目の朝日橋から、左岸のみの道は川の両岸沿いへと変わります。川沿いに歩道が付いているので、環七までは右岸の方がいいでしょう。朝日橋の先の光明橋の少し上までは、川は杉並中野区境ですが、その先からは杉並区。善福寺池まで、ずうっと杉並区です。
環七に出たら、横断歩道を渡るためにちょっと右です。環七では神田川と連携した地下調整池、地下河川の工事の真っ最中。そのため、ちょっとの間川の姿を見ることができなくなります。ほんのちょっとの間、工事現場の脇を抜ける間の辛抱です。私は、この区間右岸の道を歩きます。抜けた先は定塚橋。きれいにペイントされた歩行者専用橋です。しばらくは、コンクリート3面貼りの護岸ながら、壁は垂直ではなく石積み風の景観を見ながら進むことになります。本村橋を過ぎると行き届いた整備の遊歩道になり、緑の姿が多くなります。本村橋と紅葉橋そして熊野橋の間は、済美教育研究所と済美養護施設に挟まれた区間で、け緑を濃く感じます。春は見事なサクラを楽しめます。
●和田堀公園に向けて
熊野橋から大宮橋までの間は、川の両岸は低層住宅が広がり、明るい遊歩道といった趣です。ちなみに善福寺川は、この近辺で大きく蛇行しています。済美橋から荒玉水道道路に入ると、大宮橋までショートカットできます。おすすめはしませんが。
善福寺川遡行のハイライトは、和田堀公園と善福寺川緑地です。下流側の和田堀公園は、大宮橋から川の両岸に広がりますが、済美橋からすでに飛び地のように和田堀公園の敷地が現れます。済美橋の先の右岸歩道は、歩道の両側を緑で囲みちょっと場違いなオブジェがたたずんでいるユニークな整備がされています。大松橋の先には、広い芝生の広場。川の護岸の傾斜も緩くなり、川との距離が近いと感じる区間です。宮木橋の先には、平時はテニスコートになる和田堀調整池があります。その奥には杉並区立郷土博物館。川関係の展示はありませんが、空調の効いた清潔な館内で一休みするのもいいかも知れません。ちなみに入場料は100円です。付近には、縄文中期の復元住居がある松の木遺跡もあります。(次ページへ続く)