分水路と調整池
そして、高田馬場分水路が作られます。丁度神田川に沿う形で新目白通りの整備が始まっていて、この地下に延長約1.2kmの暗渠を設置することで増水時の水を逃がすことになったのです。要するに川幅を広げるのと同じことです。この工事で妙正寺川は、直接神田川と合流しないように流路が変えられ、高田馬場分水路に合流するようになりました。水を逃がす分水路は、この他にも江戸川橋、水道橋にも作られています
工事の完成で、高田馬場地区の水害はほとんどなくなりました。と、書ければいいのですが分水路だけでは、氾濫に対応しきれませんでした。つまり、神田川の氾濫は分水路の許容量を越えていたわけです。これに対応するため、上流の妙正寺川には数カ所に調整池が作られます。自然の河川は氾濫原というものを持っています。増水時にここに水を蓄え水位が減ると再び水を川に戻すメカニズムです。都市部の河川は氾濫原を持ちようがありません。その代わり人工的に作られたものが調整池です。高田馬場の水害が本当になくなったのは、妙正寺川の調整池の完成からだといっていいでしょう。
調整池はもちろん妙正寺池だけではありません。神田川では、史上最大規模の環七地下調整池があります。東京の環状道路である環状七号線の地下40mに作られたトンネルを利用した巨大な調整池で、トンネル断面積は東京アクアラインのトンネルよりも大きく作られています。昭和63年に工事着工。平成9年に神田川部分が完成。現在、平成7年に始まった第2期工事が行われており、善福寺川、妙正寺川部分は工事中です。当初は昭和70(つまり1995年)年完成予定だったのですが、現在工事概要を伝える看板には完成時期は書かれていません。これに合わせて導水管工事も進行中です。この導水管は、余水を調整池すぐ下流の神田川に戻すことなく、安全な下流や東京湾に流す地下河川です。この工事が完成すれば、一時間あたり50ミリの雨にも耐えることができるようになるはずです。