内陸型都市河川の水害
コンクリート3面貼りの護岸工事は、水害にも問題を起こしました。水が、地中に浸透しないため、神田川はたびたび水害を起こすようになります。かつて東京の水害といえば、江東ゼロメートル地帯に代表される下町地区に関わることと言われてきました。こうした地区と神田川に代表される内陸部の水害は分けて考えるべきという意見があります。江東地区の水害は、水害に対する施設そのものがお粗末だったことが原因です。つまり、堤防の決壊や設計時点での不備などです。こうした地区の水害は、排水設備に代表される対策を施してきた結果、なくなりました。海が近いので増水したら、一刻も早く海に流すような改善をすればいいわけです。ただ、、神田川に代表される内陸側の水害はこれでは解決できません
逃げ道がまったくない天水は、すぐに川へと流れ込みます。海まで距離があるため、川の許容量を超えればすぐに川の水はあふれます。川の水に逃げ場はないのです。神田川は、1時間30ミリ程度の雨でも水害を起こすようになりました。水が地中に浸透しないことを示すものとして、不浸透面積と被覆率という言葉があります。要するに地表がコンクリートやアスファルトでどれだけ覆われているかを示す数値です。神田川流域の自治体の被覆率平均は、87%です。すべての水が川に集まるといっても過言ではありません。特に、顕著だったのが新宿区高田馬場1丁目地区。そして、中野区弥生町です。高田馬場地区は、落合で妙正寺川が合流し、さらに落合下水処理場の水が流れ込む地点のすぐ下流にあたります。JR山手線と西武新宿線の鉄橋をくぐるあたりは地元で渓谷と呼ばれ、川幅が狭まり神田川でもっとも早い流れを見せます。この渓谷の下流で度々氾濫が起きました
あまりにも氾濫が起こるため、この渓谷下流の神高橋には大雨のたびにTVの中継車が集まる始末。ついに、住民が河川の安全管理に不備があるうえ無策だと怒り、国と東京都を訴えます