江戸名所図会元本 江戸名所図会の実物の版本です。 俗にいう大本と呼ばれる天地約26×左右18cmほどの大きさ。 印刷博物館所蔵本を撮影しました

名所図会に描かれた神田川

 

 江戸名所図会は絵入りの全7巻20冊、天保年間(1830〜1844年)に2回に分けて刊行されました。編者は斎藤幸雄、幸孝、幸成の親子3代。 30年余りを経てようやく完成したもので、挿絵は長谷川雪旦と言われています。 この書は、安永9年に京都で出版された都名所図会に端を発した数々の名所図会のまさに ラストバッターとも言えるものです。平たくいえば、その内容はガイドブックであり、技術的にも芸術的にも評価の高い挿絵と文章の組み合わせで、江戸時代の風景を紹介しています

 ただ、単にガイドブックと評価するだけでは済まない風俗や地誌を、今の時代へ伝える貴重な文献であり、江戸期の研究者にとっては手放せない書のひとつといえるかも知れません。 オリジナルの挿絵はモノクロ(墨)です。挿絵の数は742点。江戸市中から、現在の神奈川、千葉、埼玉までその収録範囲は広く、 江戸市中から郊外まで当時の様子を事細かにうかがい知ることができます。雪旦の描いた挿絵は、繊細な線と細かい所でも絶対に手を抜かずに描画しているのが特徴です。 少し、大げさな表現にもなるかも知れませんが、写真のように見ることもできます。そうした挿絵の一部は、名だたる画家の手によって彩色されて出版されました

 この江戸名所図会の中にも神田川と神田川上水、そして日本橋川を描いたものがいくつかあります。それをここからのページでご紹介します。この神田川逍遙でも、 以前にトップページに彩色したこの挿絵を何点か使っておりました。今回、ここでご紹介する神田川水系が描かれた挿絵は、すべて彩色したものです。 まずは、原画をご覧になっていただきます。マウスオーバーすれば、彩色版となります。さらに、クリックすると別窓で私が作業した元サイズを彩色版でご覧いただけます。 別窓でご覧いただく元サイズは、元本よりも大きなサイズ(左右方向で平均サイズ1100ピクセル以上)になっており、接続環境によっては表示まで時間がかかるかも知れません。ご容赦ください

 それでは、神田川が隅田川に注ぐ両国橋の風景からどうぞ。下流から上流へと向かって、順番通りにすべてをご覧いただけるようになっておりますが、左のメニューからお好みの挿絵を選んでご覧いただくことも可能です。日本橋川編は、左のメニューより日本橋川をクリックしていただければご覧になれます