都会の中の四季

 

落合のサクラ  自然あふれる中を流れる川は、四季折々の美しさを見せてくれます。また、そうした所では川が最も四季の移り変わりを反映してくれるものです。 都会では、四季の移り変わりを敏感に感じられないとよく言われます。これは、どうしようもないことです。アスファルトとビルに囲まれている限りは、仕方がないことです。 そんな都会を流れる神田川に、四季それぞれの違った表情を求めることの方が無理かも知れません。しかし、都会でもまったく季節が変わっていくことを感じられないわけではありません。 それは、そこを流れる神田川とて同じことなのです

 春。神田川沿いに植えられたサクラが花を広げると、都市河川といえども「水温む季節」を感じることができます。遊歩道脇に作られた花壇も彩りを添えて、 川添いを歩く人の目を楽しませてくれます。注意して、川に目をやると冬の眠りから目覚めた生き物たちが行動を始めています
夏の照り返し  梅雨から夏にかけて、他の河川同様に神田川も一年で最も水量の多い季節となります。沿川の緑濃い並木道の下を流れる川。やはり、水量が多くなると、川は元気な表情になります。 もちろん、多すぎるのは困りもの。かつては荒れ狂うことも多かった神田川ですが、最近は、すっかりおとなしくなりました。長年かけて取り組んできた水害対策のおかげでしょう

 都会では目が覚めるような紅葉にお目にかかることはありません。神田川沿いとても、同じことです。しかし、僅かに色づく葉に気が付けば、秋を感じることはできるでしょう。 真夏の強烈な照り返しに悩まされることなく遊歩道を歩ける季節です。気持ちよく、時には汗をかきながら、一年で最も散歩が楽しくできる季節かも知れません
 神田川に冬の訪れを告げるのは、渡り鳥たちです。彼ら彼女らがやってくると、冬の到来を感じます。寒い日に遊歩道を歩くのは苦痛かも知れません。 でも、気温がちょっと高い日ならば、陽だまりを求めての遊歩道ウォークも捨てたものではありません。水量は少なくなる季節ですが、水は一年で一番澄んでいる季節です。 やはり、きれいな水を眺めるというのは、気分がいいものです。じっくり観察してください、なんて書く気はありません。でも、川沿いを歩けば東京のど真ん中のコンクリートに囲まれた川にも、 季節は確かにあることを感じることができるはずです