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Gitzo G2227を買った理由

「ジッツォのG2227は、QTVRの撮影に適した三脚だと思う。」そう考えて購入してしまったわけですが、どうしてそう思ったのか、それを紹介したいと思います。中古購入。それも2世代前のモデルですが、現行のエクスプローラー・シリーズにも当てはまる内容になっているはずです。


 まずは、簡単に仕様やら特徴やらから始めましょう。カーボン製の3段です。全伸高1710mm、メイン脚径28mm、センターポール可動高275mm、最低高115mm、縮長670mm、重量2.00kg、耐荷重量6.00kg、開脚角度0~90°。これが、主なスペックです。メイン脚径28mmなので、決して太くて頑丈なタイプではありません。脚径28mmに対して、171cmの全高ってギリギリとはいいませんが、バランス的には決して優れているとは思えません。縮長の67cmも随分と縮まないというのが、印象です。なにしろ、雲台付けちゃうとハスキー3段と縮長はほとんど変わりません。

 ジッツォのエクスプローラー・シリーズは、不整地での使用を考えてラインナップされました。特徴は、まずセンターポールがオフセットされていること。センターにないからセンターポールと呼ぶのも変ですが、三脚中心から35mm外側に出されています。このセンターポールは、伸ばすと横方向への回転ができるようになっています。マンフロットでは、センターポールをラテラル(横方向への)マウント可能にする雲台受けを装備したモデルがありますが、エクスプローラー・シリーズはラテラルマウントをセンターポールを外すことなく可能にしているわけです。しかも、回転するわけですから、センターポールを倒す角度も自在に決められます。

 もうひとつの特徴は開脚角度が、自在に選べること。通常は、単純なストッパーだったり、ピンやノブを動かすことによって開脚角度を変えることになります。対して、エキスプローラーはロックレバーによって自由な角度で開脚角度を固定します。これで、まず段差のある所や不整地でのセッティングが有利になります。そのような場所では、通常3本の開脚角度を保ったまま、脚の長さを調節して、可能な限り雲台受け部分が水平を保つようにセッティングします。対して、エクスプローラーは開脚角度でこの調整ができるため、非常に素早いセッティングが可能になります。素早いだけではありません。安定したセッティングも可能です。

 こうした特徴から、エクスプローラーシリーズは、不整地などで低い位置にある被写体の接写(花など)に威力を発揮します。実際、カタログではそうした撮影をする人をターゲットユーザーにしているようなカットが使われています。

センターポール付近はこうなります。センターポールがオフセットされているのが、わかるはずです。
特殊な構造の三脚には違いありませんが、普通に立てればもちろん普通の三脚と同じに使えます。

脚の付け根です。黒いレバーを操作して開脚角度を決めます。赤いマーキングは、普通に使うための指標。もともとマーキングされていますが、見にくいので僕が色を付けました。

右が、高低のスライドをロックするノブ。中央に見えているノブは、ここを中心にセンターポールを回転させるためのもの。ある程度、ポールを伸ばさないと回転はできません。

 回転するセンターポールだからこそ、この三脚では容易に真下のカットを撮影することができます。さすがに、303SPHと438のような重量物を載せている場合は、不安定になりますがちょっとした工夫で安定感は増します。開脚角度が自由にできる特徴を生かして、過重がかかる反対側の脚を少しだけ広げれば、ぐっと安定します。どうせ、真下を撮る時に三脚をずらすわけですから、その時開脚角度をちょっと変えることぐらい造作もありません。必要とあらば、センターポールの反対側にウエイトをぶら下げちゃってもいいでしょう。

 三脚をずらさないで撮る真下のカットの場合は、開脚角度をずらすことで脚一本だけが写るようなセッティングも可能です。Photoshopの達人なら、別に3本が1本になったぐらいでは、屁でもないかも知れませんが、僕にとっては大きな違いです。アスファルトやコンクリートの摩擦係数が高いような地面ならば、三脚の脚がまったく写らないようにセッティングすることも可能です。ただ、さすがに安定性は損なわれるので、積極的に試そうとは思いませんが…でも、テストでやってみました。何とかなりました。


マンフロット303SPHと438をマウントした状態で倒してみました。写真で見ても不安定さが伝わる怖い状態ですが、ちょっとした工夫で安定させることができます。
スペック耐荷重の半分ぐらいが実際に安定して使える重量と言われていますが、それでも3kg。この組み合わせなら余裕です。

 さて、僕はG2227という古いモデルを買いました。三脚は5〜10年使えて当たり前という商品ですから、別に気にせず使います。現行のエクスプローラーシリーズは、GT2530EX、GT2540EX、GT2931EX、G2222の4機種がラインナップされています。縮長が短くなる4段はGT2540EXですが、2型というジッツォの中では中型モデルであるだけに4段目のあまりにも細い脚径はちょっと頼りなさげです。G2222がアルミ脚で、他のモデルはカーボン。G2222は2万円前半という実勢価格で、カーボンにこだわらない方ならお買い得かも知れません。