STORY&REPORT
電線こうやって処理してます
どんなに撮影で注意しても、ステッチの段階で慎重にやったとしても、つながらない時には絶対につながらないのが電線。こんな方法で、僕はつないでいます。自分で見返してみても原始的な方法だなと思っています、他の皆さんはどんなやり方をしているのでしょう。
作業はPhotoshopでやります。ステッチを終えた後の画像を読み込みます。紹介する手順では、一番下の電線をつなげます。まずは、切れている電線の周りを広めに取ってレイヤーを作ります。広めの画角でレイヤーを作っておけば、コピースタンプや修復ツールが使いやすくなりますから、広めの画角でレイヤーを作っておきます。レイヤーを作ったら、そのレイヤーをコピーします。わざわざコピーしなくても、作業はできるのですが、元画像はそのままにしておきたいので、僕は2枚重ねのレイヤーで作業します。
レイヤーをコピーしたら、上のレイヤーを非表示にして、下のレイヤーのつながっていない部分の電線を消してしまいます。消す方法は、コピースタンプや修復ツール。サンプル画像のように、雲がない空だと簡単ですが、雲が浮かんでいたり背景があったりすると、ここで相当の時間を取られることになります。
電線を消したら、上のレイヤーを表示させます。そして、電線部分を選択します。普通は長いラインの方を使いますが、電線はいつもまっすぐとは限りません。QTVRにした時のことを意識して作業しています。ちなみに、Cubicの場合は、6面画像を書き出した後で作業することもあります。とにかく、ムービーになった時に不自然なRが出ないように考えていますが、いつもいつもそううまくいくとは限りません。
選択範囲は、通常クイックマスクを使います。写真ではわかりやすいように、少し太めの選択範囲でやっていますが、実際は電線ギリギリで選択します。選択を終えたら、電線部分のみのレイヤーを作ります。これで、レイヤー数はつごう3枚になりました。
電線のみのレイヤーが出来上がったら、つなぎ合わせの作業は行程半ばを過ぎたといったところでしょう。サンプル画像では、レイヤーに電線と名前を付けておきました。移動ツールもしくは自由変形ツールで作業します。まず、電線レイヤーを移動して、電線がつながるような位置に置きます。当然、ただ置いただけでは電線はつながりません。レイヤーを置く位置は、それこそどのように写っているかで変わります。通常、電線のRがきつくない部分に電線レイヤーの片方の端を合わせるように置きます。この時点で、電線レイヤーの長さが足りないこともあります。その時は、電線レイヤーを伸ばしておきます。
こうして置いただけでは、まだ電線はつながっていません。移動ツールもしくは自由変形ツールで、下のレイヤーと合わせた電線レイヤーの片方の端に、レイヤーのセンターを動かします。これで、下のレイヤーと電線レイヤーの一方の位置関係は固定されます。センターを移動させたら、電線レイヤーを回転させれば電線はつながります。
ただ、下にあるレイヤーの電線がまだ残っています。レイヤーマスクを作って、この残骸を消します。残骸を消したレイヤーの下は、あらかじめ電線を消してあるので、これで電線レイヤーの周囲はきれいになります。写真では載せていませんが、最後の処理として、電線レイヤーにもレイヤーマスクを作って、電線の端がなじむように調整します。
これで作業は終わりました。残りの電線も同様の作業をしてつなげます。実際の作業では、最下のレイヤーは一枚だけ用意して、最初に写っているすべての電線を消しています。3本くらいの電線ならまだしも、5本10本なんて時は、レイヤーの数だけでも結構なものになってしまいますから。
こうしてまとめてみると、あんまり大したやり方じゃないなぁ、って思っていますが、これが僕のやり方です。もっと、効率良かったり、仕上がりがきれいになる方法を今でも模索中です。ステッチの段階で、きれいにつながるように努力した方がいいかも知れませんけどね。